講演会
第二回はりま桜シンポジウム
第4回桜講演会(2020.1.18)
第四回桜講演会記録
2020年1月18日
講師:NPO法人兵庫樹木医会 中井 堅
演題:樹木の剪定について
日時:2020年1月18日(土) 10:00~12:00
場所:桜が丘自治会館、参加者:42名
1. 樹木の剪定
樹木の生育がおかしいと疑問を持ったら、何が問題であるのか要因を探ることが大事である。
① 根系の生育不良
枝が垂れ下がる、花がつきにくい状態になれば土壌に原因がある。土が固まっている(固結度)、通気性が悪い、有機質が少ないなどが考えられる。
② 細枝の枯損
枝葉繁茂による日照不足。剪定しないで放置しておくと樹間内が日照不足となり枯れていく。
③ 花木の開花不良
花芽を無視して剪定してはいけない。花芽分化の時期を知って、それに合わせて剪定を行う。むやみに切らない事。花芽分化表を参照にする。
<例>
開花期 花芽分化期 剪定期
サクラ 3~4月 7~8月 落葉期
ウメ 1~2月 7~8月 11~1月
サツキ 5~6月 7~8月 花後
2. 剪定方法
次のものは切り落とす。
①枯れ枝(折れ枝) ②平行枝 ③交差枝(からみ枝)④徒長枝 ⑤逆さ枝 ⑥下がり枝 ⑦立枝 ⑧幹吹き ⑨ひこばえ(ヤゴ)
選定方法A
古枝の切り方(二度切りの場合)
① 枝元より10cmほど先に鋸を下から入れて半分切る。
② 下から切ったらすぐ先を上から切る。
③ 半分ほど切ると折れるので枝先を取り除く。
④ 残った枝を幹に沿って切り過ぎないように切る。
選定方法B
枝透かし法
太い幹や立枝は切らない。太い枝や幹は他の枝との付け根一杯で切る。
細い枝の途中では切らない。他の枝との付け根一杯で切る。
3. 病害虫について
(1) 腐朽菌
コフキタケ、ベッコウダケ、ヒイロタケ、カワウソタケ、カイガラタケ、カワラタケなどの木の繊維を腐らすキノコで薬剤は効かない、倒木の危険性があるので根元で伐採した方が良い。
(2) てんぐ巣病
一部の枝からほうき状に繁殖する。胞子が飛んで罹患枝が増える。ソメイヨシノが罹患し易く、オオシマサクラはし難い。薬剤は効かないので罹患枝を剪定し続ける(約3年)。
(3) 根頭癌腫
根にこぶ状のものが出来る。葉は黄色くなり弱ってくる。土をエアースコップで掘り、こぶを切除する。土は入れ替える。
(4) 害虫
オビカレハ、コスカシバなどは幹を食い荒らすので薬剤で殺虫する。
4. 公園にて立木の剪定状況を見て回る
全体的に剪定出来ておらず、このままだと倒木の危険性のある樹木も散見出来る。透かし剪定も出来ていないので日照不足から枯れている木々も目立つ。神戸市に依頼する必要がある。
公園の現地での説明を受けました。
第3回桜講演会(2019.10.19)
第三回桜講演会記録 講師:NPO法人兵庫樹木医会理事 伊達寛 演題:弱った木の樹勢回復―木は新しい根で元気をとりもどすー 日時:2019年10月19日(土) 10:00~12:00 場所:桜が丘自治会館 参加者: 32名 1. 健全な木とはどんな木か 樹勢の衰退判定票にて0~4の評価基準を設けて評価する。その評点を合計して衰退度区分Ⅰ~Ⅴを決定する。評点が少ないものが健全な木となる。 2. 樹勢衰退の原因 (1) 周辺の環境 被圧による日照不足が多い。サクラはてんぐ巣病に罹りやすい。 (2) 気象害 乾寒風害、凍結、霜害、乾燥害、強風害、潮風害、落雷 (3) 病害虫 ウイルス、マイコプラズマ、細菌、菌類、昆虫、ダニ類、線虫など 被害は菌類が一番多い。サクラなどバラ科植物に害を与える中国由来のクビアカツヤカミキリがこれから問題となるであろう。 (4) 根の生育基盤(土壌)の障害 透水性、保水性、保肥性、膨軟性に障害を与えない事(踏圧などによる固結)。 3. 良い土壌とは 三相分布構造を持つ。 (1) 固相 砂・シルト・粘土 (2) 液相 水分 (3) 気相 空気 畑の土壌は(1):(2):(3)=4:3:3 森林土壌は =5:2.5:2.5 それぞれの比率で構成されたた団粒構造を作っている土壌が植物にとって良い。 4. 真砂土とは 花崗岩の風化土壌で火山の少ない地方に多い。関西地区はほとんどこの土壌。 粒子の粗いものと、細かいものがあり、細かいものは表面に分布して蓋をする形になる。その為水が浸透せず、団粒構造は作りにくい。 5. 生育基盤の改良(土壌改良) (1) 透水性の改善 (2) 保水性の改善 (3) 団粒化の促進 有機質系:パーク堆肥(樹皮[バーク]を発酵させてもの)、腐葉土、ピートモス(ミズゴケ等を粉砕して乾燥させたもの)。木炭 無機質系:パーライト、バーミキュライト、モンモリロナイト、赤玉土(関東ローム層)、日向土(霧島火山帯)などを混合する。 団粒化促進には有機質を投入した方が良い。 樹勢の弱い樹木の枝先を目当てに、縦穴を50cmほど掘り、そこに竹筒を差し込み(空気穴)、その周りに改良材を入れる。 6. 不定根誘導法 不定根とは本来の根とは異なる部位(茎、葉)から生じた根のことで、樹勢が弱ると幹から根を出し地表へ伸び、土壌へ根を張り、水分や、養分を吸収するようになり樹勢が回復する。これを人工的に地面へ誘導する方法が不定根誘導法である。丈夫で 太い不定根を選び、細根を切りミズゴケを満たした半割のプラスチックの中に根を伸ばし、赤玉土を施した地面まで誘導することで本来の根に代わって樹勢を回復させる。 講演終了後屋外で真砂土の(1)水浸透性と、(2)改良材の混合の仕方を実験した。 (1) ペットボトル二本用意してロートを置きその中にろ紙を敷く。 ろ紙の中に真砂土、赤玉土を各60g取り、水100ccを流す。其のろ過時間を計るとはるかに赤玉土が短く、真砂土は時間がかかった。赤玉土は水の浸透性が良いことが分かった。 (2)ペットボトル二本用意して、各々真砂土120g、中和加工したピートモス30g、パーライト30g加える。一本目は十回ほど上下に振り混ぜ合わせたものと、二本目は更にしっかり混ぜたものに水200cc加えて、静置した場合、前者は改良材が表面に浮いたが、後者はわずかしか浮かなかった。つまり前者より後者が良く真砂土と改良材が混合していることを示している。当然混合していなければ改良材は流されてロスすることになり、その効果も減ずる。混合したものを購入する場合は、この実験をすれば反対にその混合の良し悪しが判定できる。
第2回桜講演会(2019.7.20)
さくら守 第2回桜講演会 記録
日時 2019年7月20日(土)午前10時~12時30分
講師 NPO法人兵庫樹木医会理事 和田邦孝氏
会場 自治会館新館2F音楽室
参加者 世話役も入れて30名
テーマ 「庭木の病害虫対策」(要旨のみ)
木は足音でそだてる➝足しげく、よく見ること。桜は美味しいので,外虫はごちそう、好物です。
▼以下、害虫の名前
モンクロシャチホコ➝ソメイヨシノの葉の裏につく
ヒロヘリアオ➝葉をバリバリせんべいのように食い散らす
チャドケガ➝触ると痛い 山茶花の根につく
コスガシバ➝松の木くずを食べる
<明石桜守ボランティアの活動から>
カイガラムシ サイラコブアブラム➝シ米くい草を食べる 薬を散布しても死なない。
ケヤキフジアフヘラムシ➝けやきにつく
マイマイガ➝赤と青の点々の虫で、10cmにもなる
テングス病 カシノナガキクイについて詳しく説明(難しくて理解できず))
樫の木、楢ノ木につく。6月7月に木くずが出てくる
外来カミキリムシ=クビアカツカミキリムシが中国から入ってきている。葉を食い散らす。
きのこ類 ベッコウタケ
セイロタケ
ウメノキコケ(大気汚染の影響?)
散布薬について 神経系はどこに効くのか(図で説明あり)
■約60分で終了し、外に出て、公園内に和田さんがあらかじめカラーの紐を付けていた害虫がついている樹木で説明会が行われた。参加者は結構、質問多く、12時過ぎに終了、解散した。
第1回桜講演会(2019.3.30)
樹木医による講演会を4回のシリーズで実施しました。第1回目は2019年3月30日、河合浩彦先生(NPO法人兵庫県樹木医会理事長)からのお話です。
演題:ちょっと知らない桜の話
―人が木にやさしくする―
間違いが多い育て方
略歴:対馬造園店勤務後、現在は顧問
3期樹木医(兵庫県では4人目、現在は兵庫県で130人)
現在NPO法人兵庫県樹木医会理事長
ポートピア神戸博覧会の時に大木移植指導、国・兵庫県天然記念物、神戸市の市民の木の樹勢回復や育成も多数てがける。アメリカの友好都市に日本庭園を造る指導。
最近の桜は神戸市では王子動物園、須磨浦公園、奥須磨公園、六甲アイランドや、兵庫県立明石公園等の樹勢回復や育成を手掛けてる。松は兵庫県立舞子公園等の樹勢回復や育成を手掛けている。
弘前公園の桜を自費で5回見に行き、王子動物園方式の桜の育て方を樹立
自ら編み出した、深植えの弊害と対策、主幹新旧切替え剪定による育て方も指導・普及中
小学生から一般やシルバーに至るまで、幅広く講演活動と現地指導も多数